文部科学省科学研究費
特定領域研究 (平成18-22年度)

「マイクロ波励起・高温非平衡反応場の科学」
(領域465)
領域代表者:佐藤元泰(核融合科学研究所)

  マイクロ波はギガヘルツ帯の周波数をもつ低エネルギー
光子である。電子レンジでの食品加熱は、その応用として
日常に利用されている。しかしながら、これはマイクロ波応用
のごく一部にすぎない。

  金属の酸化物(誘電体や磁性体)にマイクロ波を照射すると、
従来法に比べて短時間、効率的かつ選択的にこれらを加熱し、
またそのなかで起きる化学反応を促進することができる。さらに、
新しい機能性の素材を創成する手段として利用できる。

  このマイクロ波と物質の相互作用の特異性に関して、その
基礎を理解し、産業応用を促進するための特定領域研究が採択
された。計画研究は5つの研究で構成され、マイクロ波による
金属粉体の加熱、焼結過程の実験と理論、高効率製鉄過程、
新規材料開発、廃棄物処理と資源回収、が主要なテーマである。

  そのなかで、マイクロ波が物質を選択的かつ高い効率で加熱
する機構を理論で究明する計画研究として、次の課題が設定され
ている。
  計画研究A03班 
  「マイクロ波と分子磁性相互作用の理論・分子動力学研究」
  代表者: 田中 基彦 (核融合科学研究所)
 
  マイクロ波による水・氷・食塩水の加熱過程の分子動力学
(Tanaka & Sato, J. Chem. Phys. 2007)はその序章である。
磁性体酸化物のマイクロ波磁場による選択的加熱の機構は
未知であったが、最近のハイゼンベルクモデルを用いた研究
により定量的に証明された(Phys.Rev.B, 2009)。この過程は
3d軌道にある電子スピンの非共鳴応答が原因であり、加熱量は
ゼーマン項より桁違いに大きくキュリー温度を超えて加熱が続く
点が理論的に示されており、いわゆるFMR(強磁性共鳴)とは
異なる現象である。
  現在、マイクロ波による磁性体一般の加熱機構を究明する
ため、量子力学的な時間依存DFT(密度汎関数法)を用いて
研究を進めている。

  この特定領域研究の概要と最近の活動の様子は、以下の
ホームページ http://phonon.nifs.ac.jp/ に記述されている。

                    (文責: 領域事務局 田中基彦)


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